はじめに
1990年代、テレビの前に座る私たちを夢中にさせた女優さんのひとりが、石田ひかりさんです。清楚で自然体な雰囲気、親しみやすい笑顔、そしてどこか芯のある演技がとても印象的でした。
「あすなろ白書」や「悪女(わる)」など、90年代ドラマを彩った石田ひかりさんの姿を、私だけではなく今でも鮮明に覚えている方も多いのではないでしょうか。
そんな石田ひかりさんが、映画『ルノワール』でリリー・フランキーさんと夫婦役を演じ、改めて注目を集めています。
しかもこの作品は、第78回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出された話題作。石田ひかりさんにとっても、女優としての歩みを感じさせる大きな作品となりました。
この記事では、石田ひかりさんとリリー・フランキーさんの共演、映画『ルノワール』での役どころ、そして90年代ドラマ世代から見た石田ひかりさんの現在の魅力についてご紹介します。
石田ひかりとリリーフランキーは映画『ルノワール』で夫婦役
石田ひかりさんとリリー・フランキーさんは、映画『ルノワール』で夫婦役を演じています。
石田ひかりさんが演じるのは、主人公フキの母・沖田詩子。
リリー・フランキーさんが演じるのは、父・沖田圭司です。
この2人が演じる夫婦は、ただ仲の良い理想の夫婦というよりも、どこかすれ違いや生活の重さを抱えた、現実味のある夫婦に見えます。
作品の舞台は1980年代後半の東京郊外。
11歳の少女フキが、闘病中の父と仕事に追われる母と暮らしながら、大人たちの心の痛みや人生のままならなさに触れていく物語です。
この設定を知っただけでも、石田ひかりさんとリリー・フランキーさんの空気感が作品にとても合っているように感じます。石田ひかりさんはどこか素朴な印象があるので、個人的には役柄が合っていると思います。
そして、リリー・フランキーさんは、言葉にしない感情や生活感をにじませるのが本当に上手な俳優さんですよね。
一方で石田ひかりさんは、若い頃から大げさに感情を出すというより、内側にある思いを静かに表現する印象があります。その2人が夫婦役で並ぶと、派手なやり取りがなくても「この家庭には何かがある」と感じさせる説得力が生まれるのではという気がします。
映画『ルノワール』とはどんな作品?
映画『ルノワール』は、『PLAN 75』で知られる早川千絵監督の長編映画です。
主人公は、11歳の少女フキ。
感受性と想像力が豊かなフキは、大人たちの世界を少しずつ覗きながら、人の孤独や痛み、家族の揺らぎに触れていきます。
映画情報サイトなどでも、石田ひかりさん、リリー・フランキーさんのほか、鈴木唯さん、中島歩さん、河合優実さん、坂東龍汰さんらが出演していることが紹介されています。
この作品で描かれるのは、分かりやすい感動や劇的な事件というより、日常の中にある小さな違和感や、子どもの目から見た大人の複雑さなのだと私は思います。
子どもの頃って、大人のことを分かっていないようで、実はものすごく見ていましたよね。親の表情、家の中の空気、言葉にはされない不安。そういうものを、子どもは敏感に感じ取っている。
『ルノワール』は、そんな子どもの視点を通して、大人たちの不完全さを描いた作品なのではないかと感じます。
そしてその中で、石田ひかりさんが演じる母親役は、きっと単なる「優しい母」ではないはずです。仕事に追われ、夫の病気と向き合い、母としてもひとりの女性としても揺れている。そんな等身大の母親像を、石田ひかりさんがどう演じているのかが、この作品の大きな見どころだと思います。
インタビューでは石田ひかりさんは「自分の中にある母性の部分を、静かに出していった」と語られていて、表現として魅せるというより、染み渡るような演技じゃないかと感じました。
私は映画のあらすじを読んだだけで胸が熱くなりました。年齢や立場に応じて、自分の人生をどう納得させていくかという問いに、石田さんの演技がそっと答えてくれている気がしたからです。
実際、試写を観た海外の批評家たちからも「静かで力強い演技」「日本の母性を体現した女優」として高く評価されたとの声もあるのも納得です。
石田ひかりがカンヌ映画祭で見せた現在の姿
映画『ルノワール』は、第78回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出されました。
90年代ドラマで青春時代を彩ってくれた石田ひかりさんが、50代になった今、世界的な映画祭に関わる作品で存在感を見せている。
それだけでも、同世代として胸が熱くなります。若い頃に一世を風靡した女優さんが、年齢を重ねたあとも、きちんと今の自分に合った役で評価される。これはとても素敵なことですよね。
90年代の石田ひかりさんは、透明感や清楚さが印象的でした。でも現在の石田ひかりさんには、そこに人生経験が重なった落ち着きや深みがあります。
若い頃のままではない。けれど、あの頃の魅力が消えたわけでもない。むしろ、年齢を重ねたからこそ出せる余白や静けさが、今の石田ひかりさんの魅力になっているように感じます。
私自身、90年代ドラマを見ていた世代なので、石田ひかりさんが今も自然体で女優を続けている姿を見ると、「年齢を重ねることも悪くないな」と思わせてもらえます。
石田ひかりとリリーフランキーの夫婦役が自然に見える理由
石田ひかりさんとリリー・フランキーさんの夫婦役が気になる理由は、2人とも「生活のにおい」を出せる俳優さんだからだと個人的に思います。
リリー・フランキーさんは、どこか飄々としているのに、ふとした瞬間に人間の弱さや寂しさを見せるのがとても上手だと感じます。
石田ひかりさんも、感情を強く押し出すというより、表情や佇まいで伝えるタイプの女優さん。だからこそ、2人が並ぶと、いかにも作られた夫婦というより、本当に長い時間を一緒に過ごしてきた夫婦のような空気が出るのだと思います。
夫婦って、分かり合っているようで分かり合えないところがありますよね。言葉にしなくても通じる部分もあれば、言葉にしないからこそすれ違う部分もある。
『ルノワール』で描かれる夫婦も、きっとそういう現実の夫婦に近いのではないでしょうか。石田ひかりさんとリリー・フランキーさんの共演は、派手な話題性というより、作品の中でじわじわ効いてくる組み合わせのように感じます。
こういう静かな存在感こそ、大人の俳優同士の共演の魅力だと思います。
90年代ドラマの石田ひかりを知る世代にこそ響く現在の魅力
石田ひかりさんといえば、やはり90年代ドラマの印象が強い方も多いと思います。
「あすなろ白書」や「悪女(わる)」などで見せた石田ひかりさんは、清楚でありながらも、ただ守られるだけの女性ではありませんでした。どこか不器用で、でも一生懸命で、自分の道を探している。
そんな姿に、当時の私たちは自然と惹かれていたのかもしれません。そして今、映画『ルノワール』で母親役を演じる石田ひかりさんを見ると、90年代からの時間の流れを感じます。
あの頃、恋や仕事に揺れる役を演じていた女優さんが、今は母として、妻として、ひとりの女性として揺れる役を演じている。これは単なる「昔の女優さんの現在」ではありません。私たち自身の時間の流れとも重なるから、余計に心に残るのだと思います。
若い頃に憧れた女優さんが、今も自然体で、無理に若作りするのではなく、今の年齢だからこその魅力を見せてくれる。それは、40代・50代の女性にとって、とても励みになる姿ではないでしょうか。
石田ひかりの現在は「自然体で美しい」という言葉が似合う
石田ひかりさんの現在の魅力を一言で表すなら、「自然体で美しい」という言葉がしっくりきます。もちろん、女優さんとしての華やかさはあります。でもそれ以上に感じるのは、無理をしていない美しさです。
若い頃の透明感に、年齢を重ねた落ち着きが加わっている。その姿は、ただ「昔と変わらない」というより、「良い年齢の重ね方をしている」と言いたくなるものです。
特に映画『ルノワール』のような作品では、外見の美しさだけでなく、人生の陰影や感情の奥行きが求められるはずです。石田ひかりさんが母親役として作品に参加していることは、女優としての現在地を感じさせてくれます。
90年代に輝いていた人が、今も別の形で輝いている。その事実が、なんだかとても嬉しいです。
まとめ
90年代ドラマで石田ひかりさんを見てきた私にとって、今回の『ルノワール』での石田ひかりさんの姿は、なんだかとても感慨深いものがあります。
若い頃の可憐さや透明感はそのままに、50代になった今だからこそ出せる落ち着きや余白が加わっているところが、今の石田ひかりさんの魅力なのだと思います。
リリー・フランキーさんとの夫婦役も、きっと派手なやり取りではなく、長年一緒に暮らしてきた夫婦ならではの空気感がにじむものになっているのではないでしょうか。
90年代に画面越しで憧れていた女優さんが、今もこうして新しい作品で輝いている。その姿を見ると、「年齢を重ねることも悪くないな」「私もまだまだこれからだな」と、少し背中を押されるような気持ちになります。
映画『ルノワール』は、石田ひかりさんの現在の魅力を感じられる作品として、ぜひ注目して観てみたいですね。

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