はじめに
90年代ドラマから活躍してきた松たか子さんを見ていると、いつも感じることがあります。
それは「芯の強さ」と「品のある静けさ」。きれいでかわいいのに嫌味がない女性としての憧れ。
松たか子さんあの存在感って、どこから来ているんだろう?
そう思って調べていくと、たどり着くのが、父親・二代目松本白鸚(まつもとはくおう)さんの存在です。
松たか子さんの父親である松本白鸚さんは、歌舞伎俳優であり、俳優であり、そして何より「芸を生きる人」。
松たか子さんの表現力の根底には、この松本白鸚さんの生き方が深く息づいていると感じます。
この記事では松たか子さんの根底にある父親との深い絆、関係性について深掘りしていきたいと思います。
松たか子の父、二代目松本白鸚ってどんな人?
本名:藤間 昭曉(ふじま てるあき)
生年月日:1942年(昭和17年)8月19日(東京都出身)
屋号:高麗屋(こうらいや)
襲名歴:父は八代目 松本幸四郎(8代目)(初代松本白鸚)である高麗屋の次男として生まれています。
初舞台は1946年(3歳頃)に東京劇場で「助六」外郎売の伜役として
1949年、六代目 市川染五郎 (6代目)を襲名
1981年、九代目 松本幸四郎を襲名
2018年、二代目松本白鸚を襲名し、現在の名跡となっています
活動や特色
歌舞伎役者として、立役(男役)を得意とし、代表演目に『勧進帳』の弁慶や『寺子屋』の松王丸などがあります。
歌舞伎の枠を超え、舞台・映画・テレビなど多彩に活躍。またミュージカルなどの洋舞台にも挑戦し、歌舞伎役者として異色の側面を見せています
学歴として、暁星小・中・高等学校を卒業、早稲田大学第一文学部演劇専修に進学したが中途退学しています。
受賞や栄典
日本芸術院会員、文化功労者、文化勲章受賞(2022年)など、歌舞伎のみならず演劇・芸能界全体からの評価も高いです。
家系・親族関係
高麗屋の家系に連なる名門で、長男に十代目 松本幸四郎(俳優・歌舞伎役者)、娘に女優の 松たか子さん、松本紀保さんがいます。
代表作:『勧進帳』『寺子屋』『ラ・マンチャの男』『王様と私』『鈴芽の戸締まり』(声優出演)など
幼い頃から舞台の上で生きてきた白鸚さん。
父(初代白鸚)も祖父も歌舞伎俳優という“芸能の血”を受け継ぐ家に生まれ、「芸で生きることが当然」という空気の中で育ったそうです。
歌舞伎だけでなく、映画やドラマ、ミュージカルなど舞台演劇にも積極的に挑戦されている姿は本当に枠にとらわれない、新しいことにも積極的に挑戦する、まさに芸そのものに対する人生をかけた想いが感じ取れます。
時代に合わせて変化を恐れないその姿勢に、「芸は伝統であって革新でもある」という信念を感じます。
松たか子の父、高麗屋という名門と「三代同時襲名」の重み
高麗屋は江戸時代から続く歌舞伎の名門。
白鸚さんは、家の看板を背負う“九代目松本幸四郎”として長年舞台に立ち続けてきました。
そして2018年。
自身は二代目松本白鸚を襲名し、同時に息子が十代目松本幸四郎、孫が八代目市川染五郎として三代同時襲名が行われました。
私は当時ニュース映像を見ながら、感動しました。
長年積み重ねてきた「芸の命」が、家族を通して継がれていく――。
伝統を絶やさない覚悟と、家族の絆が凝縮された瞬間でした。
松たか子の父としての松本白鸚
白鸚さんは“厳格な父”としても知られています。
松たか子さんは末っ子。兄姉がすでに芸能界で活躍する中、
「自分も芸能の道に進む」と決めたとき、父から言われた言葉があったそうです。
「人前に立つとは、どういうことか。覚悟があるならやってみなさい。」
甘やかしも、特別扱いもない。
でもその裏には、芸に対する誠実さと、娘を“ひとりの表現者”として認める愛がありました。
私はこのエピソードを読んだ時、胸が熱くなりました。
父親としての厳しさと、芸の世界の厳しさを区別しない――
まさに「本物の親」であり「本物の師匠」だと思います。
松たか子が語る「父の言葉」
松たか子さんはインタビューで、こんな言葉を残しています。
「父はいつも厳しかったけれど、迷ったときは“自分を信じなさい”と言ってくれました。」
私はこの言葉に、白鸚さんのすべてが詰まっている気がします。
芸の世界で結果を出すには、他人の評価よりも“自分を信じる力”が必要。
そして、それを教えられるのは「背中で見せてきた父」だけなんだと思います。その言葉が松たか子さんの根底にはいつも流れているんですね。
松たか子、父の存在が演技に宿る
『HERO』『カルテット』『アナと雪の女王』――
どの作品でも松たか子さんの演技には、「静かな強さ」があります。
それは、泣き叫ぶような派手な表現ではなく、見ている人の心にじわっと染みてくる“静けさの力”。
私は思うんです。
あの落ち着きと説得力は、間違いなく父・白鸚さん譲り。
芸を追求する姿勢、ぶれない価値観、そして“誠実であること”。
それが、松たか子さんという女優の根を作っているのだと私は思います。
松たか子の父の教え「厳しさは、愛の裏返し」
歌舞伎の家に生まれるということは、想像以上のプレッシャーだと思います。
「松本家の娘」として見られ、どこに行っても比較される日々。
けれど、そんな中で松たか子さんが“松たか子”として輝けるのは、父親の厳しさを通して「自分らしく生きる力」を学んだからではないでしょうか。
白鸚さんが松たか子さんに教えたのは、「芸とは、命をかけて表現すること」
そして「本気でやる人を、芸は裏切らない」という信念。
私はこの親子の関係を知るたびに、“厳しさの中にある深い愛”を感じます。
松たか子の父、松本白鸚が体調不良で歩行困難に…現在は車椅子生活と報道
私はこのニュースを見て、胸がぎゅっと締めつけられました。
歌舞伎界の大御所・松本白鸚さんが、現在は歩行が難しく車椅子で生活されていると報じられたのです。
ニュースによると病院を訪れる姿はどこか疲れをにじませながらも、どっしりとした存在感を放っていたそう。長年、舞台の上で人々を魅了してきたその姿を思うと、なんとも切なくなります。
それでも白鸚さんは、舞台を諦めてはいません。
「秀山祭九月大歌舞伎」では、長男・松本幸四郎さん、孫の市川染五郎さんと親子三代で共演。
たとえ車椅子であっても、“生涯現役”という信念を貫き、次の世代に背中を見せ続けています。
娘の松たか子さんも、父親の帰宅を見届けるために実家を訪れるなど、家族が一丸となって支えている姿も印象的です。
「生きることは演じること」――その言葉を、今まさに体現している白鸚さん。
年齢を重ねてもなお、舞台に立つ姿勢に心から尊敬の念を抱きます。
どうか無理だけはせず、これからもご自身のペースで私たちに感動を届けてほしいと願わずにはいられません。
そして、こうして見てみると、二代目松本白鸚さんは、ただの名俳優ではないことが改めて分かります。
家族を通して芸をつなぎ、娘に「生き方」を教えた人。
そして、そんな父の背中を見て育った松たか子さんが、どんな舞台でも「凛として、自然体で」いられる理由が、少しだけ分かった気がします。
芸の厳しさを知る父。
芸の喜びを知る娘。
その二つが重なったとき、“松たか子”という唯一無二の存在が生まれたのかもしれません。
まとめ
私はこの親子を知るたびに、「伝統」と「家族愛」は決して相反しないと思うんです。
むしろ、何十年も続く芸の道を支えているのは、家族の信頼と尊敬なんですよね。
松たか子さんがこれからどんな役を演じても、きっとその奥には“父からの教え”が生きている。
そう思うと、松たか子さんの芝居を観るたびに心が温かくなります。
これからも松たか子さんという一人の女優さんから、様々なことを感じそして学び、応援していきたいと思います。

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